・・・同刻、スマルシティ港南区・・・ 「はっ!」 気合とともに一撃を放つ。が、しかし彼女の攻撃は悪魔に弾かれた。 「クッ・・・なぜこんなところにこんな強力な悪魔が・・・ええい!」 繰り出された突きを避すとレイホゥは詠唱に入った。 「マハラギオン!」 ゴォゥ!敵を劫火が包んだ。しかし・・・ 「無傷ですって・・・」 邪龍ファヴニール。鋼鉄の肉体をもって全てを弾き返す悪魔。 しかし弱点は・・・ある! 素早く武器を持ちかえる。 「魔槍ブリューナクよ!その力を以って我が前に立ち塞がりし者の心の臓を貫け!」 ギャアアアアアアアア!不吉な叫びを上げるとファヴニールは跡形もなく消え去った。 廃工場。そこに悪魔が出没するという噂を聞き、「彼」の足跡を追って彼女はこの地へと足を向けたのだが・・・ 「徒労だったようね・・・ん?」 「ほう・・・やるようだな。どうだ?我らの元で働かないか?」 「おまえは・・・ソサエティのものか」 「む・・・その顔・・・そうか、貴様はレイ・レイホゥだな?我らが敵、クズノハの手の者・・・」 言ってPCを取り出そうとする。 「・・・やめなさい。命を粗末にするものではないわ」 「最初からこちらにやる気はない。俺はここの掃除を依頼されただけだ。それより・・・取り引きをしないか?」 「・・・取り引き?」 「こちらにはファントムの作った新作プログラム"ラプラス"がある。これと交換に天海市での事件の詳細を聞かせて欲しい。 下っ端にはあの事件の話は全く伝わってこなかったからな」 「・・・それで、そのプログラムの内容は?」 「それは教えられない。情報と交換だ」 「・・・いいでしょう。何があったか・・・話してあげるわ」 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ・・・40分後、青葉区パラベラム (このプログラム・・・私では解析できないわね。そもそもMDに圧縮された情報を読み取る方法がないし・・・せめてあいつが いれば・・・) ふと気がつくと隣に40がらみのおっさんが座っていた。いぶかしげに思った瞬間そいつは口を開いた。 「ひさしぶりだな、レイホゥ」 (知らない顔だわ・・・無視よ、無視) 「おい、俺だ。キョウジだ。まあこのなりじゃあ気付かないのも無理はないがな」 「キョウ・・・ジ?」 言われてみればその瞳は尋常ならざる色をしていた。赤い瞳・・・まるで魔物のような。 「・・・本当にひさしぶりね。いつ私がこの街に来ていると知ったのかしら?」 「知る必要もなかった。この街では噂が現実になる。だから助手に噂を流させたのさ。・・・早速だが頼みがある」 「・・・大胆な呼び出し方ね。で?頼みとは?ソサエティがらみ?」 「いや、少し違う。この世界の間違いを正して欲しい」 「・・・"こちら側"の問題・・・か。ということは敵はあいつかしら?」 「そういうことだ。既に俺の助手が現場に向かっている。サポートしてやってほしい」 「いいわ。クズノハの使命とも関係があるようだし。ただし報酬は高いわよ」 「わかっている。それと念のためこれを持っていけ。昔の俺の相棒だ」 「ありがとう。それと・・・このプログラムの解析をお願いできるかしら?」 「MDか・・・いいだろう。やっておく。少し時間がかかるかもしれんが・・・お前達が戻るまでにはできるだろう。中身は?」 「不明。ただ"ラプラス"という名前だとは聞いたわ」 「ラプラスの魔か・・・もし名前通りなら随分と物騒な代物だな」 私は苦笑する。計算で運命を求めることなどできはしない。なによりも彼からそう教えられたのだから。 「じゃあ行ってくるわ」 「ああ、頼んだぞ」 そうして店を出ると私は歩き出した。向かう先は・・・蓮華台、時間城・・・                                       to be next...